同じ?
   
   
2008/05/03
   
   
こんばんは。

昔から、疑問というか不思議に思うことがあります。
それは、

「この“赤”を、他人も見ているのだろうか?」

という疑問。

は?

わかりにくかったかもしれませんね。
何か赤いものを見ているときに、ふと浮かぶ疑問です。

「自分の見ているこの“赤”と、他人の見ているこの“赤”
は、同じ“赤”なのか?」。

別に、色弱なんじゃないかと不安に感じているという話では
ありません。

普段、私たちは、目の前に赤いものがあったら、そばにいる
他人も、同じようにその赤を見ているもの、と思い込んでい
ます。

「思い込む」とわざわざ言う必要もないくらい、あたりまえ
の前提になっている。

もちろん、赤という色だけでなく、他の色も、いろいろなも
のの形も、同様です。

それだけではありません。

音も、味も、匂いも、感触も、つまり、五感で感じるものす
べてについて、暗黙の前提がある。

「東京タワー」が見えるとしたら、お互いに、あの高くて赤
い鉄骨のタワーを、自分も見ているし、相手も見ていると思
っています。

「夏みかん」を食べているときは、お互いに、あの甘酸っぱ
い味を、自分も感じているし、相手も感じているということ
に疑いも持ちません(「甘酸っぱい思い出」といったら、人
ぞれぞれでしょうけど^^)。

でも、本当にそうなのでしょうか?

同じ赤を、同じ東京タワーを、同じ甘酸っぱさを、相手も感
じているのでしょうか。

言葉で書くと同じだけど、五感で感じているものが同じとい
う保証はありません。

というよりも、確かめようがありません。

もちろん、かなり(非常に)近いものではあると思います
が、まったく同じかというと、少~しのズレはあるかもしれ
ないと思うわけです。

でも、私たちは、その確かめようのないことをベースにして
生きています。コミュニケーションも、それが暗黙の前提に
なっている。

だから、ときに(大いに?笑)、コミュニケーションギャッ
プが生じたり、誤解が生まれたりするのも、致し方ないのか
もしれません。

五感でとらえるものですら、ひょっとしたら同じじゃないか
もしれないのだから、何かについての見方や考え方、意味や
解釈が違うのは、ある意味当然とすら言える。

わざわざこんなことを考えても、仕方ないかもしれません
が、「他人も自分と同じように見ている(はず)」という思
い込みを、ちょっとゆるめてあげる手伝いにはなるのではな
いでしょうか。

   
   
   
   
Copyright : Ryo Takashima