おはようございます。
江戸時代は、「士・農・工・商」という身分制度の社会でし
た。
武「士」は、生産をせず、統治と精神部分を受け持った。
生産の中心は、「農」民が担っていました。
維新を経て明治になると、富国強兵策のもと、「工」業化が
推し進められ、それは、第二次大戦後の高度経済成長期につ
ながる「ものづくり大国・ニッポン」の素地となりました。
その後、バブル期あたりからは、「商」人が活躍する時代に
なります。
売買行為としての“経済”に高い価値を置く社会になってい
きました。
IT(産業)や金融(産業)の発達とも相まって、その傾向
に拍車がかかり、お金や経済力を優先する風潮も強まってき
ています。
そうした流れの中で、ある部分、異を唱える意味合いも伴っ
て、武「士」道的な精神を見直そうという意見や動きも出て
います。
かと思うと、今こそ本来の「商」人道を大事にしようという
提起もあります。
単にお金を儲けるだけではなく、売買をはじめとする商行為
を通じて、心のやりとりを大切にしていこうという声です。
どれも大事ですね。
ここに来て、もう1つの目立つ流れがあります。
いわば、士農工商にプラスされる、もう1つの人種。
それは、
「芸」人。
特に、お笑い芸人がすごいですね。
テレビをつければ、お笑い芸人の出ていない日はありませ
ん。
いま最もモテるのは(お笑い)芸人、という説もあります。
お笑い芸人をめざす人も増えているでしょう。そうした人た
ちの登竜門的な番組も、結構あるくらいですから。
いまほど、芸人が注目を浴び、活動を広げている時代はかつ
てなかったかもしれません。
これも、テレビやITをはじめとするメディアの発達が大き
な要因の1つになっているでしょう。
それから、社会が成熟化してきて、“余裕”や“過剰の消化
(蕩尽)”に対する潜在的なニーズが高まっているという背
景もあると思います。
簡単にいうと、みんなお笑いを見て、聴いて、ほっとしたい
のです。
笑いは、別にいまの時代だけに求められているわけではな
く、もともと人間が欲するものであり、人間を人間たらしめ
ているものでもあるわけですが、特に今日、その傾向は、社
会の高度化に対する反動から来ているものも含めて、顕著で
す。
笑いだけでなく、他の芸も、似た部分を受け持つことが、も
ちろんできます。
そして、テレビに出ている芸人が持ち上げられるだけでな
く、多くの人が、程度の差こそあれ、芸人的な志向を抱きは
じめているかもしれません。
いわば、“一億総「芸」人化”時代(この言い方、古いなー
^^)。
それは、総じて人々が軽くなる傾向でもあるわけですが、僕
は、これはこれでいい方向につながりうるのでは、と肯定的
にとらえています。
昨日も、「一芸に秀でると、天才になる」可能性があるとい
う話をしましたが、誰もが、自分の持っている芸に磨きをか
け、発揮していこう、と考えればいいと思うのです。
主婦は主婦の一芸、大学生は大学生の一芸、八百屋さんは八
百屋さんの一芸、お父さんはお父さんの一芸、事務職の人は
事務職の一芸、それぞれ一芸を極めれば、おもしろいことに
なるでしょう。
仕事や肩書き、役割だけに縛られる必要は、もちろんありま
せん。
私は私なりの、僕は僕なりの、そのときにできる「芸」を遠
慮なく、存分に楽しめばいいのではないでしょうか。
「芸」にもいろいろありますが、共通することが1つありま
す。
それは、「人を楽しませる」ということ。
そのためには、「自分も楽しむ」ということも必要です。
「自分も楽しみながら、人を楽しませる」ことを「芸」とす
れば、日々のいろんな場面で、ちょっとした芸からはじめる
こともできそう。
楽しい芸人になりましょう。
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