「プロダクトアウト」と「マーケットイン」
   
   
2008/06/17
   
   
おはようございます。

大学を出て最初の会社に入ったとき、営業部に配属になりま
した。

そこで最初に教えられたのは、「マーケットイン」と「プロ
ダクトアウト」ということでした。

日本語で言えば、「市場サイドから入ってくるもの」と「生
産サイドから出ていくもの」といったところでしょうか。

要するに、「お客さん(消費者)の声(ニーズ)を聴く」と
いうことと、「作り手(生産者)・売り手(販売者)が作っ
て売る」ということ。

「需要」と「供給」と言ってもいいでしょう。

高度成長期までは、供給側が作りたいものを作り、売りたい
ものを売っていた。それで売れていたし、それでよかった。

つまり、プロダクトアウトの時代だった。

でも、これから(当時は、バブルがはじけた直後)は、お客
さんが何を欲しがっているのかをしっかりつかんで、それに
応えるものを作って売っていかないと、売れない。

つまり、マーケットインの時代になったということだ。

そんな話だったかと記憶しています。

確かに、そういう面はありますね。
モノがまだ十分に行き渡っていない時期や場所では、作れば
売れます。
必要なものがたくさんあるからです。

でも、最低限の、あるいは平均的なニーズが満たされた時代
や地域では、本当に欲しいとものでないと売れません。
必要なものは、基本的にあるのですから。

だから、ここ何十年かで言えば、プロダクトアウトからマー
ケットインへ、というのが大きな流れであると、1つには言
えるでしょう。

つまり、「喜ばれる」モノやサービスが求められるというこ
とです。

でも、それは最近になって生まれたトレンドや価値観でしょ
うか?
いや、そうではないでしょう。

仕事やビジネスや商売では、本来、「喜ばれる」モノやサー
ビスが求められるのです。
古今東西。

「喜ばれる」モノやサービスを提供して、喜ばれた証とし
て、多くの場合、お金というものを受け取る。

仕事やビジネスや商売の本質は、そういうものであるはずで
す。

だから、「喜ばれる」ことを考えて、行えばいいわけです。
すなわち、「マーケットイン」です。

でも、それだけでいいのか?

声になった、表面に表れたニーズをつかんで、それに応える
ことは、それだけでもちろん十分に価値のあることですが、
ときには、そのニーズを越えるものを提供したいもの。

お客さん(受け手)が、思いもしないこと、思いがけないも
の、驚きと感動に満たされるもの。

単なる御用聞きではなく、そういうサプライズを提供できた
ら、それも素晴らしいことです。

それに、作り手や売り手の思いもあるでしょう。

「これを他の人にも知ってほしい、使ってほしい」
「この楽しさや豊かさを、教えてあげたい」

そんな思いやプロセスからあふれ出るプロダクトアウトもあ
るはずです。

なので、次のように見るといいんじゃないでしょうか。

「プロダクトアウト」したいものを、「マーケットイン」的
に提供する。

言い換えると、

「生み出したいもの」「分かち合いたいもの」を、「喜ばれ
る」ように分かち合っていく。

このバランスを楽しみながらやれると、自分も人も豊かにな
れそうです。

   
   
   
   
Copyright : Ryo Takashima